イチゴの10aあたりの収量を伸ばす!反収8tを達成した7つの方法

イチゴ

 

 

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別の記事、イチゴの反収を40%以上アップ!光合成量を増やすための環境制御のポイントでは、失敗を重ねてようやく7年目にして反収8トンを達成したことをお伝えしました。

この年はすべてがねらい通りにいきました。大きな収穫の谷もなくずーっと取れ続けた印象でした。それまでと比べて特別忙しかったこともなく、まだまだ伸ばせる可能性を感じられた年でした。そんな経験から得られた収量につながったと考えられる手法を7つにしぼりました。自分自身、手ごたえをわすれないためにも備忘録として書き残しておこうと思います。

 

 

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厳寒期に入る前に草勢を高めておく

厳寒期に入れば、花芽分化は意識することなく自然に行われていきます。

露地栽培の場合だと、春に開花するまでイチゴの株は「休眠」しているのでほとんど葉が展開することはなく、草勢は極めて低い状態といえます。

施設栽培の場合は、花芽分化をさせつつも休眠させないような条件を与えてやることが重要となってきます。

具体的には、第2腋花房(3番花)の分化が始まる10日ほど前を目安に、培養液濃度、夜温を高めていきます。電照を開始するのもおそらくこの時期になるのであまり控えめにせず、初めから電照ピーク時の7、8割の時間で2週間くらいかけて株を立ち上げることをおすすめします。

ここで後れを取ってしまうと葉の展開が急激に遅くなり、出蕾や開花が遅れ収穫減につながってしまいます。

草勢の強さは、主に葉の展開スピードと栽培槽から出てくる排液のECで判断します。常に2週間後、1ヶ月後の草勢をイメージしながら管理します。

また、温度管理については、訪花昆虫への影響を最小限度に抑えることを念頭に、施設内気温を27℃を限界に制御します。

ミツバチやマルハナバチを入れている施設では気温を25℃以上にしてはいけない、とマニュアルには書かれていますが、昆虫の体温が低めの午前中の時間帯に限定して高めの温度管理をすれば比較的影響は少ないと考えています。受粉活動を妨げないように細心の注意を払いながら厳寒期までは高めの草勢を目指すとよいです。

摘蕾、摘花、脇芽除去は最小限に

摘蕾、摘花、脇芽除去は秀品率を高めるために必要なことです。しかし、収量を増やそうとした場合にはマイナスに影響することがあります。一般的に、厳寒期前に脇芽を整理することが推奨されていることが多いですが、

 芽数多い → 花房数増える → 花数増える → 果実が増える

であるので、いかに適度な着花負担をキープしていくかが重要です。

負担が大きすぎてもなり疲れを引き起こすし、負担が少なすぎても栄養生長に傾いてしまい地上部の過繁茂につながりかねません。着花負担を減らす努力よりも、着花数に応じた光合成量を確保することを最優先にした管理に労力を注ぐことに専念します。

炭酸ガスは高くても800ppm、基本はゼロ施用で

炭酸ガス発生装置は、生ガスよりもコストの面から灯油炊きのものが多いです。その場合、CO濃度の上昇にともなって施設内気温が上昇するため換気が必要になります。つまり、換気中は一定濃度以上あげることができなくなります。

早朝に1000~2000ppmくらいの高濃度施用を行うケースもありますが、CO濃度が大気中の濃度まで下がる前に施設内気温が管理上限温度に達してしまうので、せっかく施用したCOがムダになります。

施設の軒高、栽植株数にもよりますが、光合成が盛んにおこなわれていると1時間あたり200~300ppm程度COが消費されます。施設の換気が始まるまでのCO消費量を考えて早朝施用を行うようにします。その後は、天候によりますが晴れている日であれば制御装置のCO設定濃度を400~450ppm前後にすることが基本としています。

そのためにCOセンサーの校正はしっかりと行うことが前提となります。センサーの種類によっては、使っていると少しずつ数値がずれてくるものがあるからです。CO濃度が高すぎても低すぎても、施用ロスが発生するので難易度が高いですが、うまく管理すれば大きな効果が期待できます。

安定した肥培管理に必須の計算式

筆者の施設では、給液の余剰分がベンチ下から排出される「かけ流し方式」を採用しています。この排液は、ほとんど肥料塩を含んでおらず0.20~0.25mS/cmくらいまで濃度が低下しています。

また、固形培地の量が1ℓほどしかないので、少量で給液してその分回数を多く設定します。ここで大切なポイントは、イチゴの株が肥料塩をどれだけ吸収したかを数値化することです。つまり、1日の肥料吸収量をECで表すということです。具体的には、

(1日の総給液量 - 1日の総排液量) × (給液EC - 排液EC)= 1日の総肥料吸収量

を毎日チェックしていくことが大切です。肥料の濃度を管理するは何のためか?というと、与える肥料の量を増やしたり減らしたりするためです。さらに言えば、与えた肥料がどれだけ吸われているか、が重要です。肥料濃度を上げたとしても、吸収していなければ意味がなくムダになってしまいます。

大切なのは、今イチゴが肥料を必要としているか?必要としているが与えていいのか?を常に考えることです。

そのためには、1日の総肥料吸収量をチェックしてこれから肥料濃度を上げるのか下げるのか、また給液量を増やすのか減らすのかを決めていく必要があります。肥培管理は、効果が見えるまで時間がかかるのでつねに先を読んで行うようにしましょう。

電照はRed光、Far-red光を照射する

電照の光の質が適切でないと電照の効果が現れずに収量が落ちます。草勢を上げるためには、R光・FR光が含まれている電球を選ばなくてはなりません。R光とは、600~700nm付近の赤色光、FR光とは700~800nm付近の遠赤色光のことです。この二つの波長を含む光源を選ぶことが必須です。

電球型の蛍光灯を使用している方を見かけますが、FR光が少ないために効果が劣ります。電照効果が見られない場合は、一度光の質を見直してみる必要があります。

白熱電球であれば、R光とFR光が含まれています。LED電球は使われているチップの種類があるので導入時には消費電力だけでなく、光の波長も必ず確認するようにしましょう。

そこで電照に必要な知識がまとめられたおすすめの書籍があります。いろいろ探したのですが、電照だけの実用的な専門書は他にはありませんでした。それが、「電照栽培の基礎と実践: 光の質・量・タイミングで植物をコントロール Kindle版」です。

光の波長や電球の種類などその効果が詳しく書かれています。イチゴ栽培だけでなく、電照を利用する作物全般に広く応用できます。

電照栽培を行ううえで必須の知識が1冊にまとめられているのでおすすめです。(現在、書籍版は販売されておらず、Kindle版のみ)

ハダニ被害をゼロにするカブリダニの使い方

ミヤコカブリダニとチリカブリダニの両方を放飼することをメーカーは推奨していますが、チリカブリダニだけでハダニを減少させることができます

ミヤコはハダニを食べるスピードが遅いようで、ミヤコの密度が少しでも低いとハダニの増殖スピードが速く被害が出始めます。それに対し、チリは移動が速く積極的にハダニがいる場所に集まってきます。ハダニが発生していても、徐々にハダニの死骸が増えていって最終的にはハダニがいなくなっています。もしも、チリの捕食が追いつかない場合は、気門封鎖剤を使うかチリの追加放飼をすることでハダニの増殖を抑えることができます。

大事なポイントとしては、ハダニが施設に入り始める10月中旬~11月上旬までにチリを放飼することです。これで5年以上ハダニによる収量の大幅減を回避、発生しても被害が広がらずに消滅しています。
ダニ剤散布も収穫期には行わなくなりました。

また、ククメリスカブリダニも導入してからホコリダニもほとんどでなくなり、カブリダニを上手に使えばハダニ類による収量減少は解決します。

育苗で根本的な苗質は変わらない

「育苗がすべてを決める」みたいなことばがあります。

苗半作、苗八作

たしかに、育苗は収量を決めるとても大切な要素です。これは間違いないと思います。ただひとつ言えることは、とてもよくできた苗であったとしてもその後の管理次第では、なり疲れや生育停滞により思うように収量が上がらなくなるということです。

反対に、育苗でうまくいかなかったとしてもその後の管理をしっかりと行ったところ、バランスよく生育した結果収量が伸びたというケースを何度も見てきました。

ようするに、育苗も大事ですが定植したあとの管理も非常に大切で収量を上げる重要な要素であるということです。育苗でうまくいかなかったときでも決してあきらめず、常に根拠をもってていねいに生育管理をすることで、思い描いた栽培につながります。

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イチゴ栽培技術
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