イチゴの反収を40%以上アップ!光合成量を増やすための環境制御のポイント

イチゴ

 

 

イチゴ栽培で10aあたりの収量、つまり反収を伸ばしたいと日々ヒントを探している方におすすめの記事です。もしかしたら、私とは違う方法で反収7トン以上取れている人ならもっと収量を増やせるかもしれません。

記事の中では、目標の反収に届かなかったときに出会った1冊の本を紹介しています。その本との出会いがきっかけで頭の中が整理されました。当時はいろいろ考えすぎて何が正しいかわからなくなっていたのでしょう。

そんな状況を切り抜けて当初の目標である反収7トンを達成できたときのこともまとめています。現状を打破したい人のきっかけになればよいと考えています。

 

 

 

開業からの収量の推移

下の表は、開業からの収量の推移です。

開業年2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目平均
5.846.227.037.687.427.148.387.367.13
単位:t

開業して9年目、研修を開始した年から数えると10年目になりました。振り返ってみると3年目で反収7トン、7年目で8トンを達成できました。

結果として、開業年の5.84トンから7年目の8.38トンへ反収を40%以上伸ばせたことになります。

私が就農した地域では、イチゴの平均反収が3、4トンで多くても6トン超、7トン取れる人なんて1人いるかいないか、という状況でした。

それでも、高設栽培に限れば平均反収5トン超あるのですが、反収7トン取れるというのは「普通の人にはムリだよ」と言われてたぐらいです。

それでも実際やってみなければわからない、「もしかしていけるかもしれない反収7トン!」を目標に掲げ研修期間を終えました。

失敗だらけの1年目、失敗も成功もない2年目

満を持して開業した初年度、春に灰カビを多発させてしまいとんでもなく収量が減少させてしまったのです。

正直、灰カビをなめてました。うどんこは「出たら止められないよ」と教えられていたので気を付けていたんですが、「まさか灰カビが激発するなんて!」と過湿の危険性を身をもって実感させられた年になりました。

つづく2年目は、病害虫など特に大きな失敗はなかったものの収量が伸びた印象はありませんでした。とにかく失敗しないように慎重になりすぎていました。つまりチャレンジすることを恐れてしまっていたのです。

「1冊の本」との出会い

3年目に入り、このままでは開業当初の目標である「反収7トン超え」が達成できないと思い、とにかく不安をぬぐいさるように本を読みまくっていたんです(汗)。

そんなとき自分の中でターニングポイントとなる1冊の本と出会いました。

それが、ハウスの環境制御ガイドブックという本です。

これは、斉藤章さん(本の発売当時は株式会社誠和に、現在では農業経営・栽培コンサルティングを行うデルフィーにお勤めされている方)が書かれた本です。この本が発売された2015年当時は、環境制御を取り扱う本がほとんどなく、「こんな本もあるんだ」と手に取って読んでみたことを記憶しています。

ページ数は100ページちょっとで本としてはボリュームは少ない方ですが、当時の自分にとっては頭の中でモヤモヤしていた正体がはっきりと見えてきて、それが一気に解消するような感覚があったのです。

著者の斎藤さんには申し訳ないですが、読んだ当初は正直「科学的根拠は書いてない」という印象でした。しかし、植物の生理・生態についてあらゆる可能性を考えた結果「そのように理解するのが最も妥当」であれば、その仮説をもとに進めていくのが正しいのかも、と考えるようになりました。

そしてその仮説をもとにして進めた結果、病害虫による被害や大きななり疲れもなく目標の反収7トンをぎりぎりでありましたが、ついに達成できたのです。

では、どのようにして反収7トンを達成できたのか?それはこの本のサブタイトルにもある「光合成を高める」ことをとことん突き詰めていったことが一番の要因だと考えています。

反収8トンを超える

ここまでの3年間を月別に見ていくと、11月と12月の収量が低くまだ伸ばすチャンスがありました。また、5月に入ると収量が下がる傾向も見られたのでそれも伸ばすことができないかと考えました。

その年の気候によって必ずしも狙い通りにいかないですが、すべての狙いが思い通りにいったのが7年目でした。収量が上がったわりに忙しかった印象はなく、まだまだ可能性があると感じた年でした。(次年は下げてしまいましたが……)

やはり、2年目までとそれ以降では管理するうえで、考え方が変わった部分があります。

それが、メリハリをつけるということです。COの施用やハウスの温度、地上部の作り方などは、当初はとにかく増やせるものはすべて増やす、上げられるものはすべて上げるというイケイケな発想で管理していました(汗)。メリハリのない管理では収量は上がらなかったのです。

7年目 ピーク直前、2月末の様子

環境制御のポイントは3つ

ハウスの環境制御ガイドブックには有用なことが他にもいろいろ凝縮されていますが、私なりに理解した光合成を高めるポイントは次の3つです。

効果的なCO2施用

今では一般的になっている低濃度施用です。

でも、「換気がはじまったらもったいない、収量が増えるのかどうか実感ないからやってない」という人、意外に多いんです。

この本では、具体的な低濃度施用のやり方が説明されてます。簡単にいうと、ハウス内のCO2濃度を外気と同じ濃度に設定するという方法です。

気温が上がると換気するのでCO2施用止めた方がいいんじゃ?

CO2は濃度の低い所へ流れようとします。光合成が盛んなハウスでは外気のCO2濃度よりも低下するんです。

なので、ハウスの外ではなくCO2濃度の低い植物体の周辺に向かうと考えられます。

とはいえ、CO2は目に見えないから換気窓から漏れでて無駄になっているのでは、と心配になります。そこで、独自に行ったことがあります。

それが、屋根の換気窓、風下側のサイドをハンディCO2メーターで調べ、もれる量が最も少なくなる換気窓の適切な開度を調べたことです。

そして、それを環境制御装置に設定することでCO2のムダな漏出を極力抑えることができ、結果として積極的なCO2施用ができるようになりました。

結露と葉面温度

暖房機が稼働してしばらくすると、まずはじめにハウスの中の気温があがります。やがて設定温度を超えると暖房機が止まります。ハウス内の空気はすぐに温まりますが、植物体は少し遅れて温度が上がっていきます

そこで問題となるのが「結露」「葉面温度」です。

結露とはかんたんに言えば、温かい湿った空気が冷たいものにふれるとその表面に水滴ができる現象のことです。空気の温度が下がると水を含んでいられる「容器」のサイズが減って、あふれてきた水が結露水となるのです。

ご存じのとおり、植物体が濡れていると病気の原因になります。結露している時間をできるだけ短くすることは、病気の予防にとって不可欠な要素です。

また、葉面温度は正確には気温とは違います。光合成が活発に行われる温度は、だいたい20℃以上と言われます。光、CO2、水、ハウス内気温が整っていても、葉面温度が低く光合成の足かせになってしまってはもったいないです。

日の出前の早い時間帯に光合成が活発に行えるように準備しておくことが重要です。

このように、もののあたたまりにくさに着目して暖房機を積極的に活用することもポイントとなります。

光合成のための地下部管理

イチゴは光合成をして糖を作ります。そして呼吸によってその糖からエネルギーを生み出すことができます。そのエネルギーと根から吸った肥料を使って、イチゴの生長に必要なものを作っているのです。

これらの好循環によって制限要因がなくなり、収量が最大化します。つまり、収量を上げるには光合成を行う地上部だけでなく、地下部の管理を徹底して行うことが重要となってきます。そのために、理解しなければならないことがこの本には書かれています。

それが、「受動的給水」「能動的給水」です。

日中と夜では、イチゴは水・肥料の吸い方が違います。それだけでなく、主に吸っている肥料も昼と夜とでは異なっています。

そして、根張りをよくするには根の生長を促してやる必要があります。そのためには、根の周りの環境をよりよくしてやらなければなりません。具体的には、根に光合成で作れらた糖を転流させて、十分な酸素を供給して呼吸を適度に行わせることです。

これらの流れを理解したうえで、地下部を管理することが光合成を高めることにつながるというものです。

まとめ

  1. COの低濃度施用の仕組みを理解する
  2. もののあたたまりにくさを意識して暖房機を使う
  3. 光合成を高める地下部管理

以上、私が収量につながったと考える環境制御の3つのポイントです。

とくに、2と3についてはそれまで誰からも聞かなかった、そしてどこにも書いてなかったことでした。

もしかしたら別の視点で読んだ人が、私とは違った新しいひらめきがあるかもしれません。その時はぜひ教えてください!!(笑)

読みやすくイメージしやすい本です
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イチゴ新規就農栽培技術
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