いちごの育て方 プランター栽培 いちご農家が教えるたくさん実らせるコツ

イチゴ

 

 

いちご農家はいちごの生理生態に詳しいです。どうしたらたくさんイチゴが実るかをいつも考えながら育てています。それと同様に、何をやったらイチゴが全然実らなくなってしまうかも知っています。

今回は、いちご専門農家の筆者がたくさんイチゴをたくさん実らせるコツを解説します。

 

 

 

秋にしっかりと栄養をたくわえる

ひとつめは、とにかく冬になる前に栄養をため込んでおくことです。

一般的ないちごの場合、春あたたかくなるころに花が咲いてやがてイチゴの実がなります。冬の間は生育がほとんど止まり新しい葉は出てくることはありません。この状態を休眠といいます。いちごは冬の間は冬眠しているので栄養をたくわえることもできないのです。つまり、春になって花を咲かせるための栄養は秋の間にたくわえているのです。

そのために必要なことが、じゅうぶんな肥料と摘花です。秋の間は、いちごはまだまだ生育が進みます。しっかりと光合成ができるよう新しい葉を展開させて株を充実させておくことが大切です。通常、10,11月ごろ花が咲きますが、この花は摘んでしまいます。受粉がうまくいってもそのあとに冬の低温に当たると花が枯れてしまったり、しっかりと熟さず食べられない実ができてしまうからです。それだけでなく、休眠前にたくわえた栄養を使ってしまうため、春の生育の立ち上がりが遅くなるケースがあります。寒くなる前にしっかりと肥料を与えて、いちごの休眠期の負担になる花やつぼみを除去しておきます。

節分の頃の株の様子 まだ気温が低いため生育がほぼ止まっている(休眠状態)
雌しべの部分が黒くなり実にならない花と低温で肥大しない果実

水はけのよい培土を選ぶ

いちご栽培で水はけの良い培土を使うのは必須です。いちごの根は、酸素を多く必要とするので水はけの悪い培土で育てると根張りが弱くなって株の生育が極めて悪くなります。正直、水が多くても育つには育つんですが、生育が全然違ってきます。目安は、朝水やりをして夜に培土の中の方までびしょびしょだと根が吸水できていないので、水の量を減らすか培土の水はけを良くすることで根圏環境が改善されます。

水はけを良くするには、プランターの底にもみ殻や鉢底石など排水性を良くするものを入れるのはもちろんのこと、培土自体の水はけの良さもかなり生育に影響が出ます。水はけの良い培土を作る簡単な方法は、ホームセンターなどで買える野菜用の培土に芽出し用の培土を混ぜることです。芽出し用の培土にはバーミキュライトのような水抜けを改善する資材が配合されているため、排水性を高めます。一般的な野菜用の培土だけでは水持ちが良すぎるので二つを混ぜ合わせるとよいでしょう。だいたい野菜用培土と芽出し用培土が1:1の割合であればちょうどよい水はけになります。生育が良く大きく葉を拡げた株は光をたくさん受けることができるようになります。

日当たりのよい場所で育てる

生育の良いいちごの株は、葉が大きく広がっていて光合成能力が高いです。肥料や水分量が適正でしっかり光合成できる体勢が整っていても、日当たりが悪ければ光合成量が減ってしまいます。光合成した量=イチゴの収穫量といっても言いすぎではありません。いちご農家の立場からすれば、いちごのために光合成できる環境をいかに作り出すかが仕事の半分くらいを占めていると言えます。いちごのビニールハウスの中は、温度・湿度・二酸化炭素濃度・光・水・肥料・空気の流れなどを機械で制御しています。すべてはイチゴの実がたくさんできるように24時間コントロールしているのです。屋外の露地プランター栽培の場合であればコントロールできるのは、水・肥料・日当たりです。日の出から日の入りまでできるだけ日が当たり続ける場所にプランターを置くようにします。

葉の整理をする

春になって花が咲くころには余分な葉を取り除いておいて、果実ができる周りを風通し良くしておきます。葉裏にある気孔で蒸散が起きているため、葉の周辺は湿度が高くなっています。せっかくたくさんイチゴが実っても、果実が長時間蒸れた状態にさらされると灰色カビ病などの病気で腐ってしまう場合があります。果実にはできるだけ何も触れないようにプランターからはみ出して宙に浮いてる状態が望ましいです。果梗(果実のなる軸)が短い場合はワラなどの通気性のよいクッション資材で果実を受けます。

整理前 株周りが混み合っていて風通しが悪い
整理後 風通しがよくなり湿度がこもりにくくなった

まとめ

せっかく良い苗を用意しても、育て方によっては収穫量が大きく変わってしまういちご。今回紹介したイチゴをたくさん実らせるコツ、はいちご農家の基本中の基本です。まずは、基本をしっかり押さえて1シーズン栽培してみましょう。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
イチゴ栽培技術農業経営
記事のシェア