イチゴの炭疽病と萎黄病 予防対策と農薬

イチゴ

 

 

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おもに育苗期間に問題になるイチゴの炭疽病萎黄病

炭疽病は、激発すると苗の全滅を引きおこしかねない恐ろしい病気のひとつです。萎黄病は、全滅するケースはまれですが感染から発病までタイムラグがあり、発見が遅れてしまいがちです。また、導管を伝って感染がひろがるため、親苗からランナー経由で子苗に伝染してしまいます。

いずれも、基本をおさえて適切な対策をすれば、被害を最小限にとどめて安定した苗生産が可能になります。

また、抵抗性の付きにくい定番の化学農薬も紹介しています。

 

 

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炭疽病、萎黄病とはどんな病気?

炭疽病 恐ろしいシングラータ菌

炭疽病の原因菌には、シングラータ(Glomerella cingulata)とアキュテイタム(Colletorichum acutatum)の2種類が存在します。同じ炭疽病でも種類がちがうので、特徴が少し異なります。

シングラータは、菌糸の生育に最適なのが28℃、分生子の発芽率が良いのが10~15℃です。アキュテイタムは、菌糸が25℃前後で分生子の発芽率が12~28℃となっています。アキュテイタムの方が少し低めの温度が好みのようです。

苗の外側から侵入してクラウン内部まで浸食してしまいます。

この2つの病原菌うちとくに危険なのがシングラータです。シングラータはアキュテイタムよりも内部に侵入する力が強く、そのため大規模な被害を枯死によって苗不足を引き起こすたいへん恐ろしい病原菌です。一般的にイチゴの炭疽病と言えば、こちらのイメージになると思います。

炭素病菌の致死温度については、シングラータのシャーレ内試験で45℃で3時間で死滅するという結果が出ています。

愛媛県病害虫防除所HPより

萎黄病

フザリウムの一種(Fusarium oxysporum f. sp.fragariae)でイチゴにのみ寄生できる病原菌です。

土壌やランナーを伝って感染が広がります。

新葉が黄色っぽくなって生育が停滞します。炭疽病と同様に気温の高い夏に発病しやすく、最適な温度は28℃前後です。

また、土壌中で厚膜胞子をつくって何年も生き残ることができるうえに50℃でも数時間であれば死滅しません。それよりも高温の55℃で50分、60℃で40分まで温度と時間をかけることで死滅させることができます。

筆者栽培圃場より
筆者栽培圃場より

防ぐにはどうしたらいい?

雨よけハウスと点滴チューブ給水

雨除けハウスが育苗では必須になります。降り注いでくる砂ぼこりにはたくさんの微生物が含まれています。その中には病気の原因になるものも多く含まれていると考えられます。まずは、イチゴに付着する病原菌の絶対数を減らす必要があります。

そのうえで、点滴チューブを使った底面給水・ジグポットなどの連結ポット方式を導入することで侵入した病原菌の飛散をなるべく減らすことが重要です。十分な薬剤防除を行わなずに感染した苗に上からシャワーで潅水することは、付着した病原菌をまわりにまき散らすに等しい行為といえます。

抵抗性リスクの少ない農薬を選ぶ

銅剤、ジチオカーバメート、キャプタン、イミノクタジンアルベシル酸塩などが一般的には抵抗性リスクが少ない薬剤といわれています。

例えば炭疽病の薬剤は、コサイド3000、キノンドーフロアブル、ジーファイン水和剤、アントラコール顆粒水和剤、ベルクート水和剤、ベンレート水和剤、セイビアーフロアブル、ジマンダイセン、オーソサイド水和剤などがあげられます。これらの薬剤を組み合わせてローテーションを組みます。

萎黄病は、ベンレート水和剤とトップジンM水和剤の2剤のみの登録です。ベンレート水和剤は炭疽病に抵抗性リスクがありますが、萎黄病に対しては報告がないということです。

また、土壌くん蒸剤も炭疽病菌、萎黄病菌のどちらにも効果があるので被害がひどかった場合に使うのも選択肢のひとつです。

以上が炭疽病対策で筆者が常備している農薬です。アントラコール顆粒水和剤は、育苗期に6回まで使えるうえに残効期間が長く、さらに価格も安価なため500gや1kgを常備しています。

楽天市場の「みのり」というショップだと、発送が比較的早く、使用期限が近いものが少ないのでおすすめです。まとめて購入すれば送料が無料になります。

Amazonでもみのりよりも安い場合もあり、プライム会員なら送料がかからずお得なのでどちらかで購入しています。

化学農薬以外の防除

耐性菌の発生リスクのほとんどない、化学農薬によらない防除方法もあります。

炭疽病の予防剤として、タラロマイセス菌をつかった微生物殺菌剤タフパールがあります。防除のしくみとしては、イチゴの表面に散布されたタラロマイセス菌が住み着くことで、あとから病原菌がイチゴに寄生できにくくするというものです。さらに、イチゴの生体防御機能を引き出すことで病原菌の侵入を防ぐメカニズムを持っています。具体的な効果のあるローテーションは、化学農薬を2回使ったら、タフパールを1回入れるものがおすすめです。タフパール連続散布よりも化学農薬2回散布を入れることで防除効果が増すというものです。

また、高設ベンチ栽培で広く行われている太陽熱消毒や土壌改良剤を使った病原菌の死滅や抑制をねらった防除方法も行われています。

まとめ

  • 炭疽病菌シングラータは45℃で死滅する
  • 萎黄病菌フザリウムは高温に強い、55~60℃の高温が必要
  • 銅剤、ジチオカーバメート、キャプタンなど抵抗性リスクの低い薬剤を選ぶ
  • 化学農薬を使わない微生物殺菌剤や太陽熱消毒を活用することで耐性菌リスクを抑える

(参考:イチゴの炭疽病、萎黄病 石川成寿 農文教

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イチゴ栽培技術
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